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大阪地方裁判所 昭和33年(ワ)2894号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判決理由】(被告河本に対する請求について)

原告の同被告に対する請求は被告会社に対する約束手形金及び貸金請求が理由のないときは、被告河本に対し被告会社との共同不法行為により原告に加えた損害の賠償を求めるというのである。

これはいわゆる訴の主観的予備的併合と称せられるものであり、予備的請求の申立は第一次的請求の認容を解除条件としているものであるが、かような条件附申立が、訴訟行為に条件を附することは審理の基礎を不安定ならしめるので許さないとの原則に対する例外として、請求の客観的予備的併合と同様に許されるか否かについては学説、判例の分れるところであるが、当裁判所はこのような形式の訴訟は許されないものと考える。すなわち。

(一)、予備的被告は当該訴訟の審理の終結まで終始応訴することを強いられるにかかわらず、第一次的請求が認容されれば、自己に対する請求についての訴訟係属はその同意なくして消滅せしめられ、当該訴訟手続において自己に有利な判決を求める利益を奪われることとなり、その地位はきわめて不安定なものであり、このような型態の訴訟は原告にとっては便利であるし、また訴訟経済に叶うものである点を考慮しても、予備的被告の被る前記のような不利益を考えると、これを許すことはできない。

なお、第一次的請求が棄却された場合には、予備的被告が右のような不利益を被ることはないが、第一次的請求の理由のないことを条件として予備的請求の適法性を肯定することは本末顛倒のそしりを免れず、いずれにしてもかかる訴を許すことはできない。

(二) 主観的予備的併合訴訟において第一次的請求につき原告勝訴の判決がありこれに対して控訴があった場合における移審の関係を考察するに、予備的併合を是認するのは裁判の統一を保障しようという要請に基くものであるが、この立前を強調するときは共同訴訟人独立の原則に抵触することとなり、右独立の原則を貫くときは予備的併合を認めることによって右要請が充されることの実益はほとんど失われることとなり、右両者の調整につき多くの難問を残している現在、直ちに右のような訴を許すことはできない。

よって被告河本に対する本件予備的請求はこれを不適法として却下することとする。

(被告会社に対する請求について)(略)

保険業法第四二条が準用する商法第四二条にいう「本店又ハ支店」とは商法上の営業所としての実質を備えているもののみを指称すると解するのを相当とするから、右のような実質を欠き、ただ単に名称、設備などの点から営業所らしい外観を呈するにすぎない場所の使用人に対し支配人類似の名称を附したからといって同法の適用があるものと解することはできない(昭和三七年五月一日最高裁第三小法廷判決)と解するところ、証拠によれば、被告会社は被保険契約の締結、保険料の徴収並びに保険事故ある場合の保険金の支払をその基本的業務内容とするものであるところ被告河本は当時被告会社大阪南特設支社長であったが、右特設支社は被告会社大阪支社所属の生命保険募集人の集団であるにすぎず、被告会社の基本的業務である保険業務を独立してなす権限を有するものでないことが認められ、該事実によれば右特設支社は被告会社の主たる事務所と離れて一定の範囲において対外的に独自の事業活動をなすべき組織を有する従たる事務所としての実質を欠くものというべく、商法第四二条の支店に準ずるものでないので、右法条の適用があることを前提とする原告の請求は失当である。(中原恒雄 石川恭 重村和男)

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